2008年5月25日日曜日

デニス・カイン講演会


先日お知らせしていた、デニス・カイン講演会に行って来ました。
たくさんの資料を持参され、写真やスライドを使って熱く、でもさわやかに話していただきました。
「湾岸戦争での劣化ウラン弾によるヒバクシャ」と聞いていましたが、お会いした感じでは「まだ若い・・・」というのが第一印象です。
印象に残ったことを紹介します。

一つは「軍隊は民主主義を育てない」ということ。
デニス・カイン氏自身の軍の教育教官をした経験から、語ってくれました。
命令に対して「Yes.」がいつでも応えられるように訓練している様子は実演つきで。
デニス氏のさわやかな穏やかな口調がガラッと変わり、急に超スピードで攻撃されているかのような怒鳴り声で話し始めます。最後には「Is that clear?」と聞かれ、よくわからなくても威圧的に「Yes」を求められる雰囲気に。
聞いているだけでドキドキしました。
考える余地を与えず、条件反射で反応する力が養われているとの事です。
民主主義は社会の基本だと思っていましたが、戦争となるとそうして奪われていくのだとよくわかりました。

ちなみに、現在アメリカでは、「学生軍事教練隊」と称し14歳~17歳の志願した学生に軍事訓練を行っているそうです。政府の予算で。
若者たちはよくわからない頃から戦争を教わることになります。
また、軍に入ることを契約して大学に進学すると、学費を出してもらえるという宣伝をしており、貧困層にとっては、大学進学の唯一の道になることも。
そうやって軍の教育を受ける層を増やし、戦争に向かわせていくのだそうです。


もう一つは、「内部被爆についてはヒロシマもナガサキもイラクもアフガニスタンも僕たち帰還兵も共通している」ということです。
デニス・カイン氏は、湾岸戦争時に劣化ウラン弾が使われた地域で活動していたことにより被爆しました。2人の兄弟も同じ湾岸戦争で被爆しましたが、そのうち一人は、全く劣化ウラン弾が使われていない地域で活動していたそうです。それでも、イラクから運ばれてくるトラックの砂やちり、ほこりで被爆したと考えられます。帰還後はイラクに行った事のないわが子も被爆の症状が出てきたそうです。
しかし米軍はもちろん被爆を認めていません。デニス氏も、2人の兄弟も。子どもも。

「内部被爆」はまだ、医学的にきちんと解明されているわけではありません。
しかし、たくさんの症例の積み重ねがあり、影響があることは間違いないのです。

その意味で、日本で行われている「原爆症認定訴訟」は、世界の被爆者が注目する一つの闘いなのだそうです。
「内部被爆」をどこまで認めるのか。

「同じヒバクシャとして、日本のヒバクシャとともに頑張りたい」
そう締めくくったデニス氏のことばに心が揺れました。

ちょうど30日には原爆症認定訴訟の判決が大阪高裁で出る日です。
今日の話を聞いて、注目しないわけにはいきません。

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